【代表ブログ】支援にも役立つ!初学者でもわかる「記憶の仕組み」と3つの貯蔵庫
- 遠藤 一歩
- 1 日前
- 読了時間: 4分
こんにちは!福島市就労支援凸です。
これまでのブログでも「ワーキングメモリ(短期記憶)」について少し触れたことがありましたが、今回は私たちの「記憶」がそもそもどのような仕組みになっているのか、心理学の基礎知識を初学者の方にもわかりやすく解説します!
自分自身や相手を深く理解し、より良い支援や環境づくりに繋がるヒントが詰まっていますので、ぜひご覧ください。
◆記憶が成り立つための「3つのステップ」
「記憶力」と一言で言っても、実は記憶が成り立つためには、以下の3つの段階(ステップ)をすべてクリアする必要があります。パソコンの情報処理(コンピュータ・アナロジー)に例えられることも多いです。
記銘(符号化): 情報を頭に入れる(覚える)こと。パソコンで言えば、情報をデータに変換して入力する作業です。
保持(貯蔵): 覚えた情報を頭の中に一定時間保管しておくこと。パソコンのデータ保存にあたります。
想起(検索): 保管した情報を必要な時に思い出すこと。パソコンに保存したデータを探し出して画面に表示させる作業です。
この「覚える・保つ・思い出す」のどれか一つでも欠けると、「記憶できた」とは言えなくなってしまいます。
◆情報が移動する「3つの貯蔵庫(記憶のモデル)」
心理学でとても有名なのが、記憶を「感覚記憶」「短期記憶」「長期記憶」という3つのシステム(貯蔵庫)に分ける考え方(多重貯蔵モデル)です。外界からの情報は、この3つの部屋を順番に移動していきます。
1. 感覚記憶:一瞬だけ残る「写し鏡」
外界の情報が最初に入るのが「感覚記憶」です。
視覚情報(アイコニック・メモリ)は1秒以下、
聴覚情報(エコイック・メモリ)は数秒間だけ保持されます。
大容量ですが、新しい情報が入るとすぐに上書きされて消えてしまう、非常に短い記憶です。
2. 短期記憶(ワーキングメモリ):頭の中の「作業台」
感覚記憶の中から「注意を向けた情報」だけが、この「短期記憶」に入ります。
保持できる時間は数秒から十数秒と短く、何度も心の中で復唱(リハーサル)しないと忘れてしまいます。
また、容量にも限界があり、意味のある情報のまとまり(チャンク)で「7±2個」程度しか覚えられないと言われています(これを魔法の数字と呼びます)。
現代では、この短期記憶は単なる情報の置き場ではなく、計算したり言葉を考えたりする「心的操作の対象(頭の中の作業台)」としての役割を持つことから、「ワーキングメモリ(作業記憶)」とも呼ばれ、非常に重要視されています。
発達障害のある方は、このワーキングメモリの容量(作業スペース)に制限があることが多く、仕事や日常生活での困りごとに直結しやすい部分でもあります。
3. 長期記憶:一生モノの「大容量本棚」
短期記憶の中で重要だと判断された情報が、最終的に「長期記憶」へと転送されます。
ここは大容量で永続的(一生消えない)な情報の貯蔵庫です。
必要な時にここから情報を「検索」し、
再び短期記憶(意識)に呼び戻すことで、
私たちは過去のことを思い出すことができます。
◆長期記憶は「言葉にできるか」で2種類に分かれる
この一生モノの「長期記憶」は、さらに大きく2つに分類されます。
宣言的記憶(言葉で表せる記憶):
エピソード記憶: 「いつ、どこで、何をしたか」という思い出の記憶です。
意味記憶: 「イヌは動物である」といった、一般的な知識のことです。
手続き的記憶(言葉によらない・体で覚える記憶):
技能: 「自転車の乗り方」や「編み物」のように、一度体で覚えたら忘れない記憶です。言葉で説明するのは難しいのが特徴です。
この他にも、無意識のうちに記憶が植え付けられる「プライミング」や、パブロフの犬で有名な「古典的条件づけ」などもここに含まれます。
◆おわりに:記憶を知ることは、人間を知ること
このように、私たちの「記憶」は非常に複雑で精巧なシステムで成り立っています。
過去の自分から今の自分までが繋がっているという
「アイデンティティ(自我同一性)」を持てるのも、
強い恐怖の体験が「トラウマ(PTSD)」として深く刻まれてしまうのも、
すべてこの記憶のシステムによるものです。
記憶の仕組みを理解しておくことは、
自分自身の特性や他者の心理的な問題を科学的に捉え、
適切なサポートを考える上でとても役立ちます。 デコが「詰め込み型の学習ではなく、
体験を通じて自然に記憶に残る仕組み」を大切にしているのも、こうした心理学の裏付けがあるからこそなのです!
◆引用
比治山大学 社会臨床心理学科_資料室


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