みなさんこんばんは!
松本先生に学ぶシリーズ、前回は『自傷・自殺』に関して、下記レジュメの『1,2』をまとめました。
前回記事を読んでいないという方はこちらをクリックしていただければ幸いです。
VOL3の今回は「自傷を繰り返してしまうあなた」への、
1.あなたにとって、自傷とは何かを考える
2.誰かに自分の気持ちを話してみる
3.傷つけたい・切りたいという衝動を他の行動に置き換えてみる
4.自分が苦しくなる状況や、人との関係を見直してみる
の中の、『3の前半部分』を先生の書籍を参考に出来るだけ簡潔にまとめてみます。
自分自身もかつて自傷していた時期があるので当時の自分と重ね合わせる気持ちでまとめてみます。
当時の私は「死ぬしか選択肢はない」という究極の視野狭窄に陥っていたので、「傷つけたいという衝動を他の行動に置き換える」とか「自分が苦しくなる状況や、人との関係を見直してみる」なんて発想はまったくありませんでしたね・・・
【本日のテーマ】
3.傷つけたい・切りたいという衝動を他の行動に置き換えてみる(前半)
a.「自傷しないこと」の先にある本当の目標
「自傷するな」「生きろ」と説くだけでは問題は解決しません。自傷という行動の背後にある心のつらさに対応できるようになることが本当の目標です。
【気持ち:苦痛】から【行動:自傷】が生まれる
本当の目標は生きづらさを減らすこと。自分を傷つけずに生きていけるようにすること。自傷に直接アプローチするのではなく、苦痛の方にアプローチします。結果として自傷を禁じなくても結果として自傷は減っていく可能性がある。
b.自傷する人を追いつめる行動を控える
・過剰な反応→まわりの人の感情的なふるまいに本人が自責の念を強めてしまうかも
・過小な反応→過小な反応は「自分には助けられない」というメッセージが伝わる
・攻撃的、挑発的な対応→本人の苛立ちが増し、エスカレートする可能性がある
c.行動の裏にある思いに耳を傾ける
・Tell(話す)→見て見ぬふりをせずに話し合う
・Ask(尋ねる)→困っていないか、どんな思いでいるのか率直に聞いてみる
・Listen(聞く)→つらい気持ちを受け止め、聞き役にまわる
・Keep Safe(守る)→支え手を増やし、本人が安全に過ごせるよう働きかける
【例】返答は肯定的に
X「死にたい・消えたい」
Y「それは苦しかったね。何かあった?」
X「切ってやる!」「どうせ死ねばいいと思ってるんでしょ!」と荒れているとき
Y「切る、切らないはあなたが決めること。私はそれを望んでないし、死んで欲しいとも思っていない」
X「切ってしまった(と傷口を見せられた)」
Y「よく教えてくれたね、ありがとう」
X「自傷がやめられない…」
Y「それはつらいし大変だったね。そういう風に言えるようになったのは大きな進歩だよ」
d.より良い手段を一緒に考える、提案する
「自傷はダメ」とただ禁止するのではなく、「切ること」「死ぬこと」が唯一の解決策ではないことを示す。
本人の思いを聞いて受け止める→自傷が生きづらさと付き合う手段のひとつであることは認めつつ、自傷に頼り切ることの危険性ははっきり伝える。→切らずに済む方法もあることを伝える。(つながりを増やす手伝いをするなど)
e.記録をつけて行動パターンを知る
「何となくイライラして切ってしまう」という人も多いですが、自傷が起きやすい状況には一定の傾向があります。記録の分析は信頼できる支援者と行うのが望ましいです。正直に記録しましょう。
・見えにくい引き金を知る
・安全に過ごせる時間を知る
d.2つのステップで魔の時間帯をやり過ごす
行動の記録を数週間し続けていると、自傷したくなったり、実際に自傷してしまったりしやすい「魔の時間」見えてくるでしょう。失敗しても落ち込む必要はございません。
・ステップ1→行動記録表からわかる「安全時間」を増やし、引き金になりやすい行動や状況を避ける。(例)絵や日記を書く、散歩に行く、音楽を聴くなど
・ステップ2→切りたい衝動を別の行動に置き換える(eで詳しく)
e.自傷に置き換え可能な方法を選ぶ 2つのスキル
自分を傷つけたい衝動を回避するには2つのスキルがあります。
①刺激的な置換スキル(すぐにできる)
(例)氷や保冷剤を強く握りしめる、サインペンで赤く跡をつける、いらない紙をビリビリ破く、強い香りをかぐ、大声で歌う・叫ぶ、輪ゴムでパッチン、体を動かす、など
(※サンドバッグを叩くなど攻撃的な置換はかえって攻撃性を煽ってしまう可能性があるので注意が必要)
②鎮静的な置換スキル(練習が必要)
(例)呼吸法(マインドフルネス)、イメージ法、気持ちを紙に書き出してみる、など
さて今回の記事では、
『3.傷つけたい・切りたいという衝動を他の行動に置き換えてみる(前半)』
について先生の書籍を簡単にまとめさせていただきました。今回は重要なテーマだけに文量も多いので、続きは次回に持ち越させていただきます。
私もかつて鬱で引きこもっていたころには精神が崖っぷちまで追い込まれて、視野が完全に狭くなってしまい、白黒思考・0/100思考のような極端な発想になってしまったことがありました。すべてが悪い方向にしか考えられず「死ぬことが幸せになれる唯一の道だ」と確信していました。
しかし、引きこもりから運良く抜け出しクリニックのデイケアに通い、きちんとした治療を受けていく過程で、極端に不安定だったメンタルは著しく安定し、それにともなって「死ぬしかない」という発想はまったく現れなくなりました。
今は「あの頃死ななくてよかった」「今は絶対に死にたくない」という気持ちです。
人それぞれ自傷したいと思わせる背景は全く違うし、その解決法も違いますが、今苦しい状況で出口の見えないトンネルの中にいる方に一筋の希望の光が見えることを願わずにはいられません。
それではまた次の記事でお会いしましょう。
参考資料:自傷・自殺のことがわかる本 松本俊彦監修
画像参照:note
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