みなさんこんばんは!
松本先生に学ぶシリーズ、前回は『自傷・自殺』に関わるあらゆる人へ先生からのメッセージを抜粋させていただきました。
VOL2の今回は「自傷を繰り返してしまうあなた」へ
1.あなたにとって、自傷とは何かを考える
2.誰かに自分の気持ちを話してみる
3.傷つけたい・切りたいという衝動を他の行動に置き換えてみる
4.自分が苦しくなる状況や、人との関係を見直してみる
の中の、『1・2』を先生の書籍を参考に出来るだけ分かりやすく解説してみます。
自分自身も数年間自傷していた時期があるのでかつての自分と重ね合わせる気持ちでまとめてみます。
1.あなたにとって、自傷とは何かを考える
a.自傷の現状
「自傷は一部のメンヘラがすること」「死にたい発言はかまってちゃん」などと世間の人は考えがちですが、自傷経験者や死にたいと考えたことがある人は決して少なくありません。
近年、自殺者数はピーク時の33,000人(平成21)から22,000人(平成28)へと減ってはいるものの、大きく減ったのは中高年のみで10代の自殺はまったく減っていません。
そして10代のおよそ10人に1人は「わざと自分を傷つけたことがある」と回答していますが、周囲の大人はほとんど気が付いていません。
自傷の多くは「死にたい」からではなく「つらい気持ちを解消するため」に繰り返されますが、自傷は自殺のリスクを上昇させます。
b.切りたくなる時の心境は
1.つらい気持ちやイライラをスッキリさせたいため(57.4%)
2.死にたくて(18.2%)
3.他の人に自分のつらさをを分かってほしくて(18.2%)
3.は「かまってほしい」といったアピールが主目的ではなく、ひとりでは耐えられないほどつらいということ
c.切って何が変わるのか? 自傷によって得られるものは気分の変化
1.スッキリする
2.ホッとする
3.体の痛みの方が耐えやすい
4.死なないために、生きていくために切っている
d.引き金となるきっかけは表面的なものだが、原因は単純化しにくい
きっかけとなる引き金は「友達の返事がそっけなかった」「テストの成績が少し落ちた」など、他の人にとって大したことはないように思えることであっても、背後には様々な問題が隠されています。
e.エスカレートしやすいので放ってはおけない
つらい思いを自傷で解消する日々が続くと、痛みへの耐性が上がり、ストレスへの耐性は下がっていく。そして自傷はエスカレートし、大量服薬や飲酒、故意に自らの健康を害する行動をとりやすくなります。
f.自分の価値を感じられなくなる経験
人は人とのかかわりの中で「自分の価値」を見出していきます。過去の体験などから「自分は無価値な存在」という思いをもつようになることもあります。育ってきた環境だけでなく、それぞれの生まれ持った心のもろさによっても違ってきます。
1.直接的な暴力の被害
2.つねに否定され続けてきた
3.無関心
4.暴力の目撃
2.誰かに自分の気持ちを話してみる
a.助けを求める力が低下してしまっている
これまでの経験や今置かれている状況が「どうせ助けてもらえない」という思いを生み、「アピールしたいだけ」という世間の目もあり、ますます「助けて」と言えなくなっていきます。実際には自分のつらい状況を誰にも告げずに、自傷のほとんどは誰にも知られないようにおこなわれています。
1.本気で死にたいと思っても相談しなかった(73.9%)
2.自殺未遂したときに相談しなかった(51.1%)
3.自傷したのはひとりきりのとき(96%)
b.家族も「助けて」が言えない、言いたくない
子供が自傷を繰り返す背景に、家庭の問題があることは少なくありません。
1.メンタルの問題(アルコール、ギャンブルなどに依存している家族がいる・精神疾患をもつ家族がいるなど)
2.生活上の問題(両親の不仲・別居・離婚・DV・借金など)
c.さまざまな思いがためらいに
1.できれば隠しておきたい
2.自分が責められ避難されるのではないか?
3.自分で解決しなければならないこと
4.誰に相談していいか分からない
5.相談したところで上手くいくはずがない
➡結局、誰にも相談できない
d.閉じた環境の中で悪循環が起こりやすくなる
本人も家族も誰にも相談できない状態が続くと、状況はますます悪化しがちです。閉じた環境の中で、自傷はますますエスカレートしていくおそれがあります。
e.愚痴をこぼしてみる。よい聞き手は必ずいる
ネガティブな感情をため続けていると、いつか大爆発して相手を傷つけたり、自分を傷つけたりしやすくなります。溜まっていく前段階で「愚痴」という形で少しずつ少しずつ、心の負荷を減らしていきましょう。
下記のような聞き手はあまりよくありません。
✖1.すぐに「ダメ出し」する人
✖2.自分の意見を押し付ける人
✖3.無遠慮な質問ばかりする人
f.プロの支援者のいる機関に相談する
友人や知人への相談は相手に大きな負担をかけてしまう場合があります。自傷や自殺のリスクを低下させるためには、公的な機関を利用するとよいです。
・家族だけでも相談できる機関
a.地域の保健センター・保健所
b.精神保健福祉センター
c.子供家庭支援センター
d.BPD家族会(ボーダーラインパーソナリティ障害ファミリーサポートサービス)
e.その他(子供についての相談は「教育センター」「児童相談センター」でも可)
・本人がアクセスしやすい
a.精神保健福祉センター
b.学校
c.医療機関
g.精神科にかかるべき時機を逃さない
自傷したり「死にたい」と訴えたりしているからといって、必ずしも医療的な治療がひつようというわけではありませんが、精神科受診を検討した方がよい場合もあります。医師が加わることで支援チームが拡大していきます。支え手を増やすことは本人の孤立感が薄まっていくだけでなく、家族など身近な支え手の安心にも繋がり、悪循環を防ぐことにもなります。
h.まわりの人ができること
相手のつらさに共感できる人は、心の痛みを抱える人にとって大切な存在ですが、「あの人を救えるのは私しかいない」という過度の自負には注意が必要です。自分が突き放したら最悪の事態が起きるかもしれないと心配かもしれませんが、「それは無理だけどこれはできる」と自分ができることを明示し、できる範囲でかかわっていけば十分なのです。支える側もネットワークを広げ、自分ひとりでなんとかしようとがんばり過ぎないことが大切です。
i.どんな医師なら安心できる?
1.自傷したことを責めない
2.本人の顔を見ながら話を聞いてくれる
3.疑問・反論に応えてくれる
4.説得されている感じはしないが、納得できる
5.最低限の治療薬しか処方しない
今回は『あなたにとって自傷とは何かを考える』と『誰かに自分の気持ちを話してみる』の要点だけを絞ってまとめてみました。自傷に関する客観的なデータや、どんな気持ちの時に自傷したくなるのか、また自傷することでどんな気持ちになるのか、どんな人が自傷しやすい傾向にあるのか、自傷や自傷したいと思ったことが無い方にとっては特に勉強になる内容だったと思います。
また、『誰かに自分の気持ちを話してみる』に関しては、なぜ本人や家族は相談できないのか、相談しないで一人でもしくは家族だけで抱え込むとどうなるのか、そして、どのようにどんな場所に相談するとよいのか、まわりの人の関わり方や精神科との付き合い方など、誰かに相談するという大事なステップにおいてとても大切な内容でした。
次回も自傷・自殺に関して松本先生の書籍を参考にできるだけ分かりやすくまとめていきたいと思います。
よろしくお願いいたします!
参考書籍:自傷・自殺のことがわかる本 監修:松本俊彦
画像参照:m3.com
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