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鬱のつらさをどう伝えるか

みなさんこんばんは!




昨日の長編記事『かまちょ後編』をお読みいただきありがとうございました。




実は昨日の記事は恐らく初の5000文字オーバーで、みなさんを少しばかり疲れさせてしまったかもしれませんね。




いつも2000∼3000文字を意識しているのですが、書きながら色々ひらめいてしまって結局文字数が多くなってしまいます(笑)




さて、今回のテーマは、




『鬱のつらさを分からない人にどのように伝えたら上手く伝わるか』




このテーマ、未だに答えの出ていない難問ですよね。最高の伝え方を創り出したら何か賞をもらえるかもしれませんね。




私も今まで約20年間くらいどういう表現だと鬱を知らない人に伝わるか、色々考えてきましたが正直のところ未だに『これだ!!』ていう答えは見つかっていません。。




ということで今日の内容は、


①今まで聞いたことのある表現

②私が考える鬱のつらさとは

③まとめ



となります。




最後のまとめは上手くまとめられるか分かりませんが最後までお付き合いいただけますと幸いです。(結論が無いのに記事を書いています💦)


 

1.今までに聞いたことのある表現

鬱は心の風邪

あまりにも有名なこの表現、私の記憶が確かなら2000年頃に日本の自殺者数が30,000人を超え出したことを発端に「うつ病は誰しもがなり得る病気」ということを広めるために製薬会社がそのように宣伝したんだったかなと思います。多分・・



実際に調べてみると、1990年代後半まで、欧米ではうつ病を心身両面からの疾患であると捉えていたのに対して、日本では主に身体の疾患と見られており、うつ病という診断名もほとんど使われることはなかったそうです。典型的なうつ病の症状に苦しむ患者たちは医師から「静養が必要」とだけ言われることが多かったそうです。



そういった事情から、日本ではそれまで抗うつ剤の需要がほとんどなく、海外の製薬会社は抗うつ剤を日本で売ることをほぼ諦めていました。ところが、90年代も終わりころに日本の製薬会社会社が打ち出した『うつは心の風邪キャンペーン』によって、鬱は誰しもがなる病気・鬱は薬で治せるという考えが広まっていきました。



そしてうつ病の患者数は4年で倍増、抗うつ剤の使用量も8年で6倍になりました。



『うつ病は心の風邪』という表現は「うつ病は誰しもがなり得る病気・うつ病は薬で治る」という意味だったのが、いつの間にか『鬱のつらさも風邪と同じです』といった意味合いにとられてしまったというのが現実なのでしょう。



実際にうつ病のつらさが風邪と同じわけがありません。



鬱は心の骨折

この表現もときどき聞きますよね。鬱は心の風邪に対抗した言葉だとは思いますが、それでもこの表現をもってしても鬱のつらさを表すにはまだまだ足りないと思う当事者がほとんどだと思います。例えば、『うつ病になるのと骨折するのどっちがいいですか?』と問われれば、間違いなく私は骨折を選びますし多くの当事者もそうすると思います。うつ病と骨折、失うものの大きさを考えると比になりません



一度うつ病にかかると、仕事・経済・人間関係・友人など色々なものを失うリスクがあります。寛解までに10年以上かかるケースすらあります。10年も社会から離脱してしまえば、かなりのものを失うでしょうし、そこからまた社会に戻ってやり直すのは大変なことです。2ヵ月くらいギプスをつけていれば治る骨折とはわけが違います。(もちろん骨折も場所によっては大変なのでしょうがね)



鬱は脳の癌

これはTwitter上で誰かがつぶやいていた表現です。そして私もこの表現がもっとも近いのかなと考えています。それは言い過ぎじゃない?と思う方もいらっしゃると思う方もおられると思うのですが、現時点ではこれが一番合っている気がします。


これはとある精神科医が言っていたのですが、とある末期がんの患者でうつ病も併発していた方に『うつ病と癌どちらがつらいですか?』と尋ねたところ『鬱の方がつらいです』と答えたそうです。


一般の方の意識では癌の方がつらいと思いそうなものですが、鬱と癌のつらさを比較すると、鬱の方がつらいと答える方もいるということですね。ということはこの辺りが鬱のつらさのラインになるのでしょうか。


鬱と癌の共通点として、①再発のリスクがある ②人生に大きなダメージを与える ③死亡リスクを伴う (※鬱の死亡リスクは自殺です。自殺者の多くが自殺時に鬱状態を伴っているというデータもあります)





2.私は今までどのように伝えてきたか

とにかく的確な言葉がない

まずはこれに尽きますね。とにかくつらさを上手いこと表現できる手段がないんです。あのなんとも言えないただただ苦しい感覚はどうやって伝えればいいのでしょうかね。



死ぬことしか考えられなくなるほどの苦痛

鬱になると自己肯定感や自信がこっぱみじんに無くなってしまいます。自分の存在さえも完全に否定してしまうほどのつらさ、感覚、これまた伝えるのが難しいですよね。脳の中のやる気・気合い・元気・ポジティブなどなどのすべてのプラスの感情がなくなる、当然その分マイナスの感情のみになってしまうので『絶望・死にたい・消えたい』のような極限にマイナスのことしか頭に浮かんでこない。どう頑張っても鬱の時は極限マイナスの考えしか浮かばないんですね。



当然『鬱は気合いの問題』は論外ですね。




気合いでどうにかなる話ではない、は伝わる

細かなことを言えば、脳の中の神経伝達物質の話なので、さすがにこれを健常者に伝えるのは難しいのは仕方ないですよね。人間って結局どんなことでも実際自分が経験してみて初めて分かるものですし。ただ、100%伝えられないとしても気合いの問題ではないということは伝えられるのかなと思います。それが「脳を『発電所』に例える」です。



どういうことかと言うと、脳を発電所に例えて鬱を説明することです。脳を発電所とします。セロトニンやノルアドレナリン・ドーパミンといった神経伝達物質を電力とします。うつ病の人の脳は『ぽんこつ発電所』状態。朝、目が覚めてもセロトニンなどの覚醒物質がほとんど作ることができません。目を覚まして体を動かすための物質が作られないので当然ベッドから起き上がる気力も湧かず夜を迎えてしまいます。夕方・夜になってやっと体を起こす程度の神経伝達物質が作られ始めます。夜になってやっと稼働しだすので夜は眠れない。とにかくポンコツ発電所。


イメージはこんな感じです。

画像作成:ピアサポーター




それとは引き換えに健常者の脳を見てみると、朝起きて30分以内には大量の神経伝達物質が作られているので気分はスッキリ爽快、すぐに意欲的に勉強や仕事に迎えます。こんな素敵な脳があれば充実した毎日を送れて当然ですよね。



逆に、ポンコツ発電所の脳になってしまえば生活リズムもめちゃくちゃ、仕事も学業も何をやっても続かない、人生はつらくハードなものになってしまいます。



『うつ病は気合いで治せ』という人はこの「気合」というものが本人の意識次第で何とかなると考えているからだと思いますが、残念ながら「気合」すなわち「神経伝達物質」は意図的にコントロールできるものではありません。



薬と適度な休養を筆頭に、食事や運動、太陽の光など様々なプラスの要因を積み上げていって初めて安定供給されるようになるのです。






3.今回のまとめ

もしも鬱病になったなら

どうやったら鬱のつらさを伝えられるのか、色々と考えてみましたがやっぱり伝えるのは難しいんですよね。でも知ってほしいのは『うつ病になるとたくさんのものを失う可能性が高い』ということですね。幸運にもすぐに寛解した場合を除いて、多くの患者さんは再発を繰り返します。再発を繰り返せば繰り返すほど仕事は転々とし、しかもキャリアダウンしていきます。年齢が上がれば上がるほど内定することさえ難しくなってきます。精神科に自立支援制度があるのは治療には時間がかかるということと、経済的に困窮していくからなのですね。



友人などもいなくなっていきます。というかこちらから避けるようになり次第に距離が遠くなっていきます。いい年して仕事も結婚もせず家にいるだけであれば、同窓会の誘いも断るのが自然ですよね。そしてだんだんと誘われさえしなくなる。



まだまだつらい現実はたくさんありますが、マイナスのことを書けば書くほどみじめな気持ちになるのでこの辺でストップをかけましょう!!



STOP!!!!




そもそも経験してもいないのに辛さを分かってもらおうなんて贅沢な話かもしれません。でも人生が崩れるほど大変な病気だということは知って欲しいですよね。




それでも鬱を克服して幸せになっていく人はいる

うつ病のマイナスイメージの部分ばかりつづってきましたが、もちろんちゃんと治療して寛解状態を保ちながら社会復帰して幸せに暮らしている人だってたくさんいることはお忘れなく。



Twitterの精神疾患アカウントを見ていると、さも精神疾患はなかなか寛解しないようなイメージになりがちですが、寛解してリアルの方が充実してくるとだんだん忙しくなってきて、病みアカウントの方は自然とログインしなくなるのが一般的だと10年くらい前の主治医に言われたことがあります。



しっかり主治医に処方された薬を指示通りに服薬して、自分の障害の特性を分析・理解して、症状が出ないような生活習慣(生活リズムの安定・運動・食事など)を身に着けて、もしも症状が現れた場合でも早めに対処してすぐに回復できるように対処方法を考えておけば、そうそう大きく再発することもなくなると思います。



さらに、何でも悩みを話せる親友や福祉関係の人、デイケアなどの医療スタッフなどと繋がりを持つことも大切だと思います。





何だか最後は話が少し横にそれていきましたが、うつ病の苦しさを理解してもらうのは難しいかもしれませんが、




『鬱は気合いの問題』




という人がいなくなるくらいには私たち当事者も発信し続けていきたいものです。





今日もここまで読んでいただきありがとうございました!






また次の記事でお会いできるのを楽しみにしております!!



















































編集後記

2000∼3000文字を狙って書いているのですが、前回に引き続き今回も『4200文字』になってしまいました💦


どんなにいい内容を書いても長すぎると読んでもらえないこともあるので、いい感じの文字数にまとめ上げるスキルを身に着けたいですね。




ではまた!!









参考文献:BBC NEWS JAPAN

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