グーグルは、チームのパフォーマンス向上を目的に、180チーム(エンジニアのプロジェクトチーム115チームと販売の65チーム、地域・生産性が様々な組織)を対象に、250を超える項目について定性・定量的に評価・研究・検証を行った。アリストテレスの 『全体は部分の総和に勝る』 に敬意を表し、『グーグルアリストテレス』 プロジェクト と称され、2016年1月に発表された。
【結論】
チームのパフォーマンスを向上させた要素は5つと結論づけされた。
・心理的安全性
・信頼性
・構造と透明性
・意味(目的意識)
・影響
この5要素が高位にある組織が、例外なく、高度なパフォーマンスが発揮された。
調査項目、検証方法・結果については、グーグルアリストテレスHPなど全記事などを参照いただきたい。
【内容】
・心理的安全性
心理的安全性とは、対人関係のリスクの重要性に対する認識、
または、
無知、無能、否定的、破壊的であるとみなされるリスクを取っても安全だと感じること。
高い心理的安全性を持つチームでは、チームメンバーは周りのメンバーに対してリスクを冒しても安全だと感じている。メンバーの誰もが、間違いを認めたり、素直に質問したり、新しいアイデアを提示したりしても、恥をかかされたり、処罰されたりすることはないと確信している。
・信頼性
信頼できるチーム内では、メンバーは質の高い作業を時間通りに確実に完了させる。
・構造と明快さ
高いチームパフォーマンスを得るためには個々人が、仕事への期待、その期待を達成するプロセス、そして仕事の成果、を理解することが重要。
目標は個人レベルまたはグループレベルで設定することができ、具体的、挑戦的、達成可能であるべき。
※Googleでは、目標と主な成果(OKR)を用いることで、短期的および長期的な目標を設定し、それを周囲に伝えるのに役立てている。
・意味(目的意識)
仕事自体や仕事の見返りに対して目的意識を持つことは、チームのパフォーマンスにとって重要。仕事の意味は個人的なものであり、財政の安全性、家族のサポート、チームの成功支援、各人の自己表現などさまざまである。
・影響(インパクト)
「自分の仕事が優れていて、チームにとって重要である」と思えることは、チームにとって重要である。自分の仕事が組織の目標に貢献していることを確認することは、その認識を助け、より深いものとしてくれる。
5つの要素の中でも、1つめの『心理的安全性』が、重要であるとされている。ハーバード大学 組織行動学者のAmy Edmondsonは、「チームの心理的安全性」という概念を2014年に発表し、それを「チームの一人一人が不安なく自分を表現できる雰囲気」と定義している。
【改善策】
組織のリーダーが、継続的に行動を繰り返すことで、パフォーマンスが向上する。
・心理的安全性
- グループから意見を求める。
- 仕事とプライベートに対する考えをメンバーに共有する。また、そうすることを他のメンバーにも推奨する。
※参照:心理的安全性に関する Amy Edmondsonの TEDトーク
・信頼性
- チームメンバーの役割と責任を明確にする。
- あらゆる個人の仕事について透明性を提供するため、具体的なプロジェクト計画を作成する。
- 誠実性の研究について話しあってみる。
・構造と明快さ
- 定期的にチームの目標を伝え、メンバーが達成プランを確実に理解できるように促す。
- 会議では明確な議題と会議のリーダーを設定。
- チームの作業を組織化するために、目標と主要結果(OKR)を採用する。
・意味(目的意識)
- チームメンバーに、彼らがやっている優れたことについて積極的なフィードバックを与え、彼らが苦労していることを手伝う。
- あなたを助けてくれた人に感謝の意を表す。
- KPMGケーススタディについて理解を深める。
※KPMG:より深い目的意識による従業員のやる気を引き出す方法
・影響(インパクト)
- 各メンバーの仕事が、チームそしてより広い組織の目標に対して、直接どのように貢献しているかを、より理解しやすくするために明快なビジョンを作る。
- あなたがやっている仕事のこと、そしてそれがどのようにユーザーやクライアント、組織に影響を与えているかを考える。
- ユーザー中心の評価方法を採用し、ユーザーに焦点を当てる。
【改善策②】
チームメンバーがするべきこと(できること)
Edmonson教授の提示より
個々人がチームの心理的安全を促進するためにできる方法
①実行問題ではなく、学習問題として、フレームワークを構築する
②あなた自身の誤りを認める
③好奇心をモデル化し、素直に、たくさんの質問をする
【備考】
チーム内で、自由闊達な意見交換が行える環境構築こそが、生産性向上のカギであるとの結論。
組織内の相互信頼性の高低で、チームとワークグループを、明確に区分。
・チーム =相互信頼が高い組織 =生産性が高い
・ワークグループ=相互信頼性が低い組織=単なる情報共有の場≒組織図
としている。
組織の高いパフォーマンスを構成する要素(変数)として、5つ以外の要素は、まったくと言ってよいほど当てはまらないとしている。
場所
合意形成による意思決定
メンバーの外出
個々のパフォーマンス
仕事量
経験年数
チーム人数
期間
以上
遠藤一歩
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