前回のおさらい
突如として目が見えなくなってしまった愛犬♀8歳
葛藤の一夜を乗り越えた彼女は、いつものように朝一番最初に2階から降りてくる母親をいつも通り『階段の下』でお迎えすることが出来ず、リビングの真ん中で明後日の方向を向いてただただシッポを振っていた。
母が彼女を呼ぶとさらに勢いよくシッポを振って母のいる方向を探すも、分からない・・・
母がもう一度呼ぶと居場所の検討がついたのか、母のもとへダッシュ!!
ドガガっっっ!!!
彼女は顔面からテーブルの脚へ思いっきり激突してしまった。。。
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障害③ ∼障害と向き合う∼
急に目が見えなくなってしまった彼女、すぐに動物病院へ連れて行きました。
診断は「緑内障」
その段階で『右目はほぼ失明、左目は多少見えていますがいずれ見えなくなるでしょう』と言われました。
それから5年が経ち、右目は出目金の様に大きくなり閉じることも出来なくなりました。
ときどき目が痛くて(かゆくて?)しょうがないのか、しきりに前足で目をこすっているときもあります。見るに耐えない光景です。
もう一方の目は徐々に白くなってしぼんでいき、今では真っ白でほとんど潰れています。
もし自分が急に両目が見えなくなってしまったら、ショックで寝込み、絶望し、立ち直れなかったかもしれません・・・
しかし、彼女は違いました。
犬年齢8歳、人間の約48歳の彼女の心は折れませんでした。
以前の様に、空中に放り投げた餌をジャンピングキャッチすることも、外を散歩することも出来なくなってしまいましたが、壁やテーブル、イスなどに何度も何度もぶつかりながら家の配置を覚えていこうとしたのです。
それは1ヶ月や2カ月で覚えられるものではありませんでしたが、少しずつ少しずつ家の配置を感覚で掴み何かにぶつかるときのダメージを軽減するコツも掴んできたようでした。
テーブルの下に迷い込んで出られなくなったり、彼女の歩く導線にスリッパなどがあれば、ビックリして軽くパニックになりますが、めげずに家の中を動き回っていました。
餌の時には勢いよく走って来るので、さすがにその時だけは壁などにぶつからないように手をたたいたり、口笛を吹いたりして場所を教えてあげたりしますが、なるべく手助けは最小限に、彼女の自立を妨げないようにしました。
以前は軽やかにジャンプして乗っていたお気に入りのソファも、何度も失敗を繰り返しながら乗れるようになりました。(もちろん失敗してソファから落ちることもあります)
しかし、頑張ってやっと乗ったソファから降りるときや、玄関に降りるとき、ほんの1∼2㎝のちょっとした段差でさえも今でも苦戦します。
高いところから下に降りるときは恐怖で足がすくむんですね。
人間と本当に同じ動きをします。
恐怖心と闘っているんですね。
恐怖に打ち克って降りれるときと、恐怖に負けて降りられないときもありました。
障害を背負った彼女を見るようになって『人間も犬も同じ動物なんだな』と痛烈に思うようになりました。
『福祉とはどうあるべきか』
『情けは人(犬)の為ならず』
そんなことを彼女を通して身に染みて感じるのでした。
その④につづく
画像参照:ぴよとそ
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