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初めて心から親に会いたいと思った日 【前編】 (1148Words)


12年の独り暮らし生活では一度も感じたことがなかった



初めて一人暮らしをする人の多くは、一度はホームシックになる。




これは個人的な主観かもしれないが、東京に住んでいた頃に独り暮らしをしている友人達と話をしていると、たいていの人は実家が恋しくなるときがあると答える。




いかつい男子学生でさえもそう答えることが多かった。




今まで家族に囲まれて生活していた人間が急に一人で暮らすようになり、大学に行くか電話でもしない限り人と話が出来ない生活になれば、そりゃ寂しいのは想像できる。




だが私は一度もその寂しさを感じたことはなかった。






大学に行くことで早く実家を抜け出したかった

初めて一人暮らしをした人の多くは

私の実家は決して貧しい家ではなかった。




父親が公務員をしていたということもあり、裕福ではなかったが食べるものや着るものに

困ったりするような家庭ではなかった。




ちゃんと毎月小遣いをもらっていたし、1人部屋も与えられていた。




アメリカ文化が大好きな父親は、当時としては珍しい輸入住宅を建てた。




今でこそとりわけ珍しくもないが、建てた当初1980年代は、家について聞きたいと

訪ねてくる人がけっこういたらしい。


(こんな感じのアメリカからの輸入住宅)



そんな感じだったので、はたから見ればけっこう幸せそうに見えていたのかもしれない。




もちろん幸せな時期も確かにあった。




小学生くらいまでは毎日楽しく幸せに過ごしていたかもしれない。




毎年GWや夏休みにはそんなに遠くではないが家族旅行したものだ。




少しずつ崩れ始めたのは私が高校に入学した頃からだろうか。




家庭内で私も含め色々な問題が起こり始め、歯車がどんどん噛み合わなくなっていった。

(※家族問題の詳細は割愛)




高校も3年生になる頃には、家にいることがものすごく苦痛になり、毎日できるだけ家に

いる時間を少なくする方法ばかりを考えていた。




学校が終わったあとには、コンビニエンスや近所にあったコープなどで時間をつぶしたり、親の都合でほぼ独り暮らし状態になっていた友達の家に入り浸って、




家に帰る時間を23時、24時くらいまで遅らせた。




そして、帰ったらすぐ夕食をダッシュで食べて風呂に入り、朝も急いで学校へ行った。




朝家を出ると気持ちがスッと軽くなった。




そのような状況下だったので、東京の大学に行って一人暮らしをすることは私にとっては

大きなストレスから逃れるための最大の目的のひとつでもあった。




なので、初めて一人暮らしをしてストレスから解放された日の何とも言えない気持ちは

今でもはっきり覚えている。




ただ、家庭の問題をそのまま残して自分だけ東京に行くということに関してはずっと

かすかな罪悪感を抱えていたのだが・・・


それでも、かごから解き放たれた鳥の様な気持ちだったのは確かだった。





後編へつづく

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