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ふたりのばあちゃん (1590words)

わたしのふたりのばあちゃん




ともに抑うつ状態を抜け出した戦友



私にはふたりのおばあちゃんがいます。




ひとりは母方のばあちゃん。




今年で96歳。




実は今日8月3日が誕生日。




ばあちゃんは苦労人で、若いころに旦那(私の祖父)を亡くして、女で一つで4人の子供を育て上げました。




いつでもポジティブで明るい太陽のようなばあちゃんでした。




90代に入って、転んでしまったことをきっかけに、思うように歩けなくなり、ひきこもりがちになりました。



さらに追い打ちをかけるように緑内障で両目視力をほとんど失い、さすがのばあちゃんも落ち込み、抑うつ状態になっていったそうです。




その頃、バリバリひきこもりから抜け出せそうになっていた私は、母の提案でばあちゃんの話し相手をしに行くようになりました。




車で10分、ちょっとしたリハビリ。




毎回行くたびに「誰だ?」と言われますが、名前を言うと思いだしてくれました。




二日おきにばあちゃんの家を訪ねては、1~2時間話をし、外の田んぼ道を散歩しました。




ばあちゃんの若かった頃の話や、恋愛の話など色々聞きました。




耳が遠いので会話はいつも大声。




最後の方はいつも声がガラガラになっていました。




そんな生活を数年続けた私はデイケア・就労移行を経て、社会復帰を果たしていました。




ばあちゃんもいつの間にか抑うつ状態から抜け出して元気になっていました。




私にとってはばあちゃんであり戦友。




今では月いちで行ければいい方、忙しさにかまけて少しずつ足が遠のいてしまっていました。




今日はそんなばあちゃんの誕生日、明日何か柔らかいものを買って話をしに行こう。




何度同じ話をされても初めて聞いたように聞こう。




暑くなければ田んぼ道に連れていきたい。


 

癒しの天才、相次ぐ病気で苦しんだ苦労犬



もうひとりは、というか、正確には『もう一匹』は、私の飼い犬、




今年で14歳♀。




中型犬で、人の年齢で言うと80歳くらいだそう。




彼女は保護権で、前の飼い主に虐待を受けていて助け出され、うちにやってきました。




男性から虐待を受けていたせいか、人間、特に男性に強い警戒感を抱いていて、




誰が来ても延々と吠えちぎっていました。




家族はお客さんとまともに話ができないほどでした。




それどころか家族に慣れるまでもかなりの時間がかかりました。




また持病で『てんかん』を持っていて、ときどき発作を起こしては倒れ込んで『けいれん』していました。




災難はさらに続き、6歳の頃に左目、7歳の頃に右目の視力を喪失してしまい、大好きだった散歩に行けなくなり、それどころか家の中でさえ、壁にぶつかりながら歩くようになりました。




エサの時間になると喜んで走ってしまい、壁に思いっきり激突したり、テーブルの下に入り込んでしまい、一晩中出られなくなってしまったり、玄関に落ちて上がれなくなってしまっていたり、




そんな我が家の犬ですが、私がひきこもりだった頃の支えでした。




エサを与えたときに元気そうにむさぼり食べる姿に元気をもらいました。




壁や家具にぶつかりながらもめげない姿に勇気をもらいました。




最近では聴覚も嗅覚も無くなってきていて、エサの場所にたどり着けないはおろか、呼んでもほとんど反応しなくなりました。




一日中寝っぱなしで、立ち上がるのにかなりの時間がかかりますし、三半規管が悪くなってきたのか、半時計にぐるぐる回ってばかり。




排泄もいつもは決まった場所にしていたのに、今では夜中そこら中に血便の下痢をしてしまうことが多く、家族の悩み。




でもみんな14年癒され続けてきているので、誰も嫌がりません。

 

そんなふたりのばあちゃんとも、いずれお別れが来る




明日来るかもしれないし、案外もっともっと生きてくれるかもしれない




それは誰にも分からない




だからこそ後悔しないように今を過ごしたい




話せるときにしかっり話をしておきたい




話したいと思ったとき、もうそばにいないなんてことにはなりたくない




後悔はしたくない


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