昨日までの長編『災難シリーズ』から一転、本日は真面目な記事を書きたいと思います。
題して『あなたの長所を教えてください』
さて、このタイトルを見て「就活っぽい」と思った方も多いと思います。
確かに就活っぽいですね。
それでは「あなたの長所を教えてください」と聞かれた時、あなたは自信を持って自分の長所を相手に伝えることが出来ますか??
「短所を聞かれれば何個でも答えられるけど、長所と言われると・・・・。」
とおっしゃる方も多いと思いますし、実際そう答える方を今までたくさん見てきました。
ではここで問題です。
Q.なぜ短所はすぐに答えられるのでしょうか??
「自分には才能がないから・・・」
「欠点しかない人間なので・・・」
こんな答えが返ってきそうですがちょっと違うんですね。
これに対する答えはですね、
『人間はマイナス面に平均で2.25倍目が向く性質があるから』
なのです。
「は?????」
と思われた方も多いかもしれません。
少し難しい話をさせていただくと、行動経済学の『プロスペクト理論』というものが働いているから自分の欠点に平均で2.25倍目が行ってしまうのです。
分かりやすい例を用いましょう。
例えば、5万円失った時の悲しみは、5万円得た時の喜びよりも2.25倍大きいということです。
つまり、人間は自分の短所が長所よりも2.25倍大きく見てしまっているということなんです。短所の方が2.25倍大きく見えてしまっていれば、そりゃ長所より目立ちますよね。
せっかくの長所も短所に隠れてしまうでしょう。
同じように心配や不安や恐怖も2.25倍巨大に見えてしまいます。
「マイナス思考の9割は実際に起こらない」なんて言葉を聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれません。私も15年くらい前、当時の主治医に言われました。
今でもはっきりその時の先生の言葉を聞いて安心したのを憶えています。
マイナス思考も巨大化して見えてしまっているということですね。
しかし、この不安が実際よりも大きく感じてしまうというのは、人類の存続にとってはとても重要な脳の働きでした。人類が誕生しておよそ数百万年、その長い歴史の中で安全・安心した日々を送れるようになったのはほんのここ100年くらいのことなのです。
それまでの数百万年という長~~~~~~~~~~~~~~い期間は毎日が生きるか死ぬかのサバイバル、不安や危険を察知するセンサーを尖らせていないと死んでしまう危険性が常にあったんですね。
なので、この脳の性質は生き残りのためには必須の能力だったのですが、明日の食べ物にも困らなくなった現代人にとってはそれほど重要なものではなくなってしまったのです。
文明の成長速度に人間の脳の変化が追い付いていけなくなっているのです。
さてここで二つ目の問題。
Q.長所がなかなか思いつかないのはなぜでしょう??
これの答えは、まず先ほど述べた「人間の脳はマイナス面に意識がフォーカスしてしまう」が答えの一つに挙げられます。
そしてもう一つ理由があります。
それは、答えられない人のほとんどが、
『他人との比較で自分の長所を探そうとしている』
という点にあります。
確かに、集団で社会を形成して生きている人間にとっては多少は他人と比較してものごとを考えてしまうのはしょうがないこと。
しかし、他人との比較のみで自分の長所を探してしまうと、ほとんどの人が長所無しになってしまいます。どんな能力も上には上がたくさんいるのでキリがないのです。
自分は能力が無い人間だ、得意なことなんて何もない、そんな考えがずっと続くとどんどん自己肯定感が下がっていき、極論「自分は生きてる価値が無い人間だ…」という偏りまくった思考に陥ってしまう危険性もあります。
(かつての自分もそうでした・・・・。)
自分の長所というのは、
『自分の能力の中で優れている能力』
のことを指しているのです。
なので、長所がない人というのは誰もいないということになります。
他人と比較して自分の長所を探すのではなく、自分の中の色々な能力の中からとりわけ優れている能力を探すことなのです。
就職活動でも同じ
就職活動で長所・短所を聞かれる場合も同様です。
他人との比較ではなく、自分の中の能力で比較した答えが求められているのです。
面接官の意図は「あなたの中の色々な能力の中で、特に優れた能力は何ですか??」
なのです。(※ただし、就活の場合は相手先企業の求めている人材にマッチするような能力を選んで答える必要がありますが)
もしも他人との比較で優れている点を聞きたい場合は、面接官も、
『他人と比較した場合に、あなたの長所はなんですか?』
ときちんと前置きをすることでしょう。
他人とばかり比較する癖がついていると、他人の長所ばかりが目につき、自分の悪いところばかりに意識がフォーカスしてしまい、精神衛生上非常によくありませんし、自己肯定感も次第に下がっていくでしょう。他人と比較するメリットはほとんどありません。特に、学生を終えて社会に出れば皆まったく違う道を歩むことになるので、そもそも比較のしようがないのです。
比較するならかつての自分。
かつての自分よりもほんの少しでも成長していると思えたなら、
それは素晴らしいことですね!
カバー画像:いらすとや
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